■美人5 稻葉 朋子(イラストレーター) #5
― …うん。だいたい聞きたいことは聞けたな。他に話したいことある?
稻:「え?うーん…そうだ!私、ちっちゃい頃、超グズだったの!」― え?それ話したいこと?
稻:「何その冷たい反応!他の人は幼少の話してんじゃん~!!」― あははは。生い立ちは必然的に出てくるんだよー。
稻:「じゃあカブト虫を飼ってた話でも…。私、虫いっぱい描いてるから飼ってると思われるんだよね…そうだ!動物の話!これは喋りたい!」
― はい(笑)。
個展にて。#1で話に出てきたミミックオクトパス。これ、よく見ると足に数字が隠されているのです稻:「人間が高等な動物だと思ったら、それは大間違いだと私は言いたい。例えば、エビって性別が変わったりするじゃない(*)?」― えっ?そうなの?どうしてだろ。
稻:「どうしてだろ。やっぱりそれで生き残って来れたからじゃない?」― そうだよね。
稻:「人間は唯一文明を持った、とか心を持ったとか思ってるけど、それはあくまでも人間的視点で、エビから見たら『人間て効率悪ーい!』って思われてるかも。実際、人間の社会は複雑になり過ぎて、それについて行けてない。理性的だと言ってるのに性犯罪が無くならない。あと、猫や兎の方が交尾の後に排卵があって合理的だな、とか」― 合理的!!
稻:「だよねー。あと、最近友達と話してたんだけど人間が使ってる言葉で、虫のつくものはマイナスイメージのものが多いよねって。例えば、『虫ずが走る』とか…『虫の居所が悪い』とか」― ああー!そうだね。「苦虫を噛み潰したような」とかか。
稻:「それで、これは大島弓子のマンガの中にもあったんだけど『人をけなすのに動物を使うのはやめよう』って」―ん?それで虫もやめようってこと?
稻:「そう」― そうだねー。言われてみれば、そうだねー。私は虫、好きな方なんだけど、虫の生態で何がいいってさなぎだと思うんだよね。
稻:「私は節フェチなのでー…」― あはは!そうか。昆虫の足とか。私はセミの抜け殻が好きでね。
稻:「うん!セミの抜け殻はキング・オブ・抜け殻だね!」― でしょー!!あー、嬉しい!虫の話出来るのって。
稻:「あ、それで私が小さい頃グズだった話だけど」― うん(笑)。
稻:「給食食べるのとかも遅くって、一人で最後まで食べてるような子だったの」― ちょっと、想像つかないね。
稻:「他にも、私がトロいことをみんな知ってて、手伝ってくれたりするのね。で、これは母親に聞いた話なんだけど、ある日私が、ぽろぽろと涙をこぼしていたから『どうしたの?』って訊いたら、『私、自分でやりたいのに、皆がやっちゃう!』って言って泣いてたんだって」― かわいい(笑)。
稻:「でもね、思い出したんだけど、…!この話面白いぞ~」
― あははは!
稻:「グズだったんだけど、やっぱり絵は得意で。絵を描く会とかで、だいたい入選はするんだけど、大賞は取れなくて、その時大賞を取った絵っていうのがどんなかって言うとね」― うん(ゴクリ)。
稻:「ザリガニが画用紙に溢れんばかりに大きく描いてある絵なの。もうザリガニが人と同じくらい大きく描いてある、元気で、子どもらしーい絵なの。それを見て『私は、こういう天然のタイプじゃない』って幼心に思ったのを覚えてる」― そうなの?すごいね!
稻:「それで『こういう天然が、これからも私をおびやかすだろう』だから『逃げ切ってやる!』って思ってた。小2で(笑)」― 既に小2で(笑)。
* タラバエビ属とモロトゲエビ属の種は雄性先熟の性転換をするのが特徴
□稻葉朋子さんの「美人の素」□「ダメ出し」私自身は演劇時代の仲間から、かなり「ダメ出し」されます。演劇特有の文化ですね。
ちょっとでも太ったりするとケチョンケチョンに言われる。
ただ、その内容が具体的で説得力もあるのでつい聞いてしまう。
例えば、数年前歯列矯正していた時に
「矯正装置を隠して笑ってると頬に肉がついちゃうから、ダメ!」って。
ちなみにそれを言ったの男性ですよ(笑)。
普通他人の見た目なんて構わないと思うのですが
戒めてくれる人がいるのは有難いですよね。気が引き締まります。
← 大変な再発見!の第4回目◎稻葉朋子(いなばともこ) イラストレーター1971年生。東京都在住。既婚。
女子美術大学芸術学部卒業後、グラフィック、WEBデザイナーを経て、イラストレーターに。
「関節」「継ぎ目」フェチ。昆虫や甲殻類を好んで描く。
ウェブサイト
http://homepage2.nifty.com/tomokoinabaブログ 「ノラリポン」
http://tinaba.cocolog-nifty.com